エルサルバドルのビットコイン債の概要

エルサルバドルというと、法定通貨としてビットコインを採用していることで有名です。あのニュースはいつのことだったでしょうか。

遡ること約半年前の2021年9月7日のこと、法定通貨採用後は独自ウォレットのCHIVOをリリース、登録者には30ドル分のビットコインを配るなど、一般市民及び事業者の導入は急速なスピードで進みました。

今に至るまでにエルサルバドルは、ビットコインの変動益で20校の学校と動物病院の建設、キャピタルゲイン税や所得税などの税金がかからない暗号資産特区「ビットコインシティ」などの様々な発表を行って来ました。

そんな中今週にも発行が開始される世界初の暗号資産建て債権「ビットコイン債権」について今回は説明します。

ビットコイン債の概要

ビットコイン債とは、エルサルバドルが発行するビットコイン建ての債権です。Blockstream社が提供するLiquidネットワーク上で発行され、債権の管理はエルサルバドル中央銀行と大手暗号資産取引所のBitfinexによって行われます。

ビットコイン債の存在を明かしたのは、ビットコインシティ計画について発表された2021年11月のこと。現在の国際情勢を考慮した上で少しずれが生じる可能性はあるものの、2022年3月15日から20日の発行を目標とし準備を進めています。

クーポン(利息債につく利息の年率)は6.5%で発行総額は10億ドル、一口100ドルから購入可能です。5年間のロックアップがある10年債で、ロックアップ期間中にビットコインの変動益が発生した場合には利益の半分が購入者に還元される仕組みになっています。

調達額の50%はビットコインの購入資金に充てられ、残りはビットコインシティの建設費用として利用されます。

暗号資産建て債券の提供には証券法などの法律改正が必要になりますが、現ブケレ政権では支持派が過半数を占めているため円滑に実現可能と見られます。

ちなみにBlockstream社CSOのSamson Mow氏によると、投資家によりすでに半数の5億ドルは出資を受けているとのことです。

また同氏によると、今回のビットコイン債設計にあたり、いくつかの案が提案されたと話しています。1つ目は、自社で取り扱っているBitcoin Mining Noteに近い形式で発行する案。2つ目は、暗号資産のようなトークンとして発行する案。3つ目は、従来の債権と同様の形式で発行する案。そして最終的に採用されたのは1つ目の案でした。

エルサルバドルは2021年6月にビットコインの法定通貨採用を発表したのち、自国の長期外貨建て国債と優先無担保債の格付けは、ジャンク債にあたる最低ランクのCCCまで引き下げられています。2021年の利回りが10%を超えていたことを考えると、発行は金利を下げるための決死の決断とも捉えられます。

ビットコイン債のリスクとして、その管理にBitfinexが手を挙げたことが指摘されています。同社は準備資産の虚偽報告や裏付けのないステーブルコインを発行したとされるTether社と密接な関係にあるからです。

投資家から注目されるビットコインシティ。建設計画を成功させるための鍵となるのがこのビットコイン債。新興国だからこそとれたリスクに見合うリターンを得ることはできるのでしょうか。

エルサルバドルがビットコインを法定通貨に採用したことにより他国も法定通貨採用に興味を示しています。国家がドルに依存しない、不安定な自国通貨からの脱却を目指す多くの新興国に向けた新たな可能性を示せるのか。発行後も引き続き注視し、本件については継続的に情報発信をします。

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