ハードフォークで3つに分裂したイーサリアム

イーサリアムはいままで数々のハードフォークが行われてきました。イーサリアムのハードフォークでは、大きなアップデートが行われる場合が多いですが、過去にはハードフォークを通じてETHの分裂が起こりました。イーサリアムの誕生からその経緯を探ります。

イーサリアムの誕生

イーサリアムは、2015年7月30日に「Frontier」と呼ばれる最低限の機能が搭載された状態でローンチされました。翌年には「来年は「Homestead」、「Metropolis」、「Serenity」が登場し、新機能が追加される」というイーサリアム財団の発表により、たくさんの期待を背負った状態でスタートしました。

しかし、イーサリアムは一つの事件によって分裂が起こりました。

イーサリアムクラシックの誕生

イーサリアムクラシックは、2016年7月20日「DAO Fork」と呼ばれるハードフォークによりイーサリアムが分裂し誕生しました。

イーサリアムはなぜ分裂したのでしょうか?それはハードフォーク名にも含まれる「DAO」のプロジェクト「The DAO」が関係しています。何があったのか詳しく説明していきます。

The DAOとは?

The DAOとは、2016年4月30日(ブロック高1428757)に立ち上がった、分散化ファンドを作ることを目標にしたプロジェクトです。現在のDAO(分散型自律組織)の考え方はこの頃から存在します。

ICOではDAOトークン(以下、DAOと呼ぶ)を1ETH=100DAOで購入できました。ICO開始から約2週間で当時の価格で1億ドル以上の資金調達を行い、最終的には11,000人以上の投資家から1億5,000万ドル以上集まりました。当時のICOでは最高額です。

DAO保有者によって選ばれたCurator(キュレーター)に投資先の提案を行うことができ、承認された場合DAO保有者によって再度議論され、多数決で可決されると投資が行われます。提案の可決により、RT(Reword Token)が発行され、投資額に応じて1:1で付与されます。配当はこのRTをもとに受け取れます。

このように従来の投資ファンド運用を分散化するために、さまざまな仕組みを取り入れていました。

その中の一つの機能「Split」がイーサリアム分裂の原因となりました。

The DAO事件とは?

2016年6月17日、The DAOの脆弱性を突き約1/3にあたる約364万ETH当時の5,000万ドル以上が盗み出された事件のことです。海外では「The DAO Attack」と呼ばれています。

先ほど触れたSplitについて簡単に説明すると、自分の保有するDAOをETHに変換する機能です。下記の手順で利用できます。

  • The DAOの資金プールアドレスから、自分のアドレスへの移動を提案→ETHが自分のアドレスに移動
  • 移動から28日後にETHの請求を行い出金

この機能にハッカーは脆弱性を見つけました。実は同年6月12日に創設者の一人であるStephan Tualが、「ソフトウェアにバクが見つかったがThe DAOの資金は危険に晒されていなかった」と発表していましたが、スマートコントラクトの欠陥により多額の資産が流失してしまいました。DAOの価格のみならず、イーサリアムコミュニティ全体に大きな影響を与えました。

Splitの機能により28日間ロックされることにより全てがETHに変えられるという最悪の事態は防げました。また約1/3の流失で抑えられたのは、ホワイトハッカーが同様の手順で資産を抜き取り保護しました。

そこでこの事態にどう対応するのか。議論が行われ始めました。

  • ブロックチェーンの非中央集権(分散化)の思想に則り何も手を加えない
  • ソフトフォークによりアップデートを行い、流失した資産をロックする(ハッカーアドレスの無効化)
  • ソフトフォークを行い資産凍結を行なった上で、ハードフォークを行う(ロールバックを行いトランザクション自体を消去)

結論から言うと、3つ目の「ソフトフォーク+ハードフォーク」案が90%以上の支持を得て、2016年7月20日「DAO Fork」が行われました。フォークした新チェーンでは流失があったという事実を抹消しました。その後、1ETH=100DAOで変換を行い事態は収束しました。

しかしここで気になるのはこの意見に賛同しなかった人たちはどうしたのかという部分です。

この意見に反対した人たちは1つ目の「手を加えない」を推進し、旧チェーンを使い続け、それらをイーサリアムクラシックと呼ぶことにしました。これがThe DAO事件を発端にイーサリアムクラシックが誕生した理由です。

ブロックチェーンの思想を純粋に受け継いだイーサリアムクラシック。分裂はしたものの一件落着かと思われましたが、少しした後に度重なる悲劇に見舞われました。

2020年8月1日、8月6日、8月29日にの3回に渡り51%攻撃を受けました。イーサリアムクラシックの価格とコミュニティに与えた影響は大きく、大手取引所は一時取り扱いを中止するなど対応に追われました。

イーサリアムゼロの誕生

イーサリアムゼロと聞いておそらく初耳という方も多いでしょう。イーサリアムクラシック(ETC)と比較してかなり知名度が低いように思います。国内取引所ではハードフォークに伴い、ETHを保有していた人には同数のETCを配布されましたが、イーサリアムゼロは国内取引所で配布されたのでしょうか?

ハードフォークの起源は遡ること2017年7月30日、Parity Technologiesのウォレットにマルチシグを実装したことによる重大な脆弱性が確認されました。多くのウォレット利用者が影響を受け、Edgeless Casino、Swarm City、aeternity blockchainの3社のETHが盗まれました。被害は15万ETHを上回り、当時の3200万ドルに相当する額です。

この一件を受け、イーサリアムゼロ開発チームは2018年1月20日(ブロック高:4936270)にハードフォークを行いました。これにより誕生したのがイーサリアムゼロ(ETZ)です。

開発チームは2018年6月、セキュリティ上の理由によりコンセンサスアルゴリズムをPoWからMPoS(Master node Proof of Stake)を採用すると発表しました。しかし公式サイト(etherzero.org)を確認しましたが、サイトはすでに消滅していました。開発は終了しているのでしょうか。

他にもEthereum Vega(ブロック高:4370000)などイーサリアムは複数のハードフォークしていますが、Coin Market Capに掲載されていなかったので今回は省略します。

いかがでしたでしょうか?今後もハードフォークはどの暗号資産にも起こりうる可能性があるものです。また機会があれば数十に分岐したビットコインを追ってみても面白いかもしれません。

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